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トーク・イヴェント





10月21日(金)
「MobLab@ICC」

10月23日(日)
「非決定という態度:1970-80年代のヴィデオアート」

11月5日(土)
「21世紀の[情報+建築]に向けて」

11月6日(日)
「ised@ICC:情報社会をオープン にする」

12月4日(日)
「環境/モノ/身体/テクノロジー」

12月10日(土)
「Talk with Professor Ichiro Hariu」

《「日々」のための音楽》





11月19日(土)より
レクチャー&リハーサル

12月4日(日)
ライヴ・パフォーマンス

ワークショップ





12月10日(土),11日(日)
「PICSY×gumonji」

サウンド・イヴェント





12月16日(金)─ 25日(日)
サウンド・インスタレーション

12月17日(土)
公開トーク&高橋悠治コンサート

12月18日(日)
コンサート
2005年10月21日(金)—12月25日(日)ギャラリーA,B,5Fロビー,エントランス・ロビー






展示作品(会期中,一部作品の展示替えがあります.)


展示作品一覧はこちら
松本俊夫


《メタスタシス 新陳代謝》 
"Metastasis"

1971年
16ミリ,カラー,8分

《エクスパンション 拡張》 
"Expansion"

1972年
16ミリ,カラー,14分

《フライ 飛ぶ》 
"Fly"

1974年
16ミリ,カラー,9分

現在のように映像にエフェクトをかける手段が少なかった頃に,医学や工学用に開発された電子的な測定装置を使って作られた作品.白黒のグラデーションに着色をすることができるもので,まだカラーヴィデオがなかったためRGBモニター画像をフィルムに保存している.

《メタスタシス》は1台の便器を,まったく静止した状態で撮影した画像に様々な色を加えている.何も見るべき出来事が起きないところで,イメージが変容していくプロセスが映し出されている.《エクスパンション》では,過去に作られた《エクスタシス》(1969年)や《スペースプロジェクション・アコ》(1970年,大阪万博せんい館で上映)の素材を,同じ装置を使って再構成している.この引用と変形という手法は,近代の美学を成り立たせている純粋さやオリジナリティを揺るがすものとして,松本の映像制作において重要な位置を占めている.カメラが捉えた対象を,ほとんど現実との結びつきがなくなっていくほどに混ぜ合わせ,あるいはエフェクトを加えていくことで,完全に仮想のイメージなるものを作り出そうとした初期の試みと言えるだろう.




《メタスタシス 新陳代謝》

《エクスパンション 拡張》

《フライ 飛ぶ》



《モナ・リザ》 
"Mona Lisa"

1973年
ヴィデオ,カラー,3分

《エニグマ 謎》 
"Enigma"

1978年
ヴィデオ,カラー,3分

《ホワイトホール》 
"White Hole"

1979年
ヴィデオ,カラー,7分

映像を電子的に拡大,縮小,あるいは正弦派へと変換することを可能にしたのは,スキャニメイトと呼ばれる装置だった.これを使った《モナ・リザ》は,一つの主題をめぐって写真,映画,電子映像,テレビのノイズ画像など複数のメディアを一つの像の中に統合する試みが行なわれた.それぞれの違ったテクスチャーが織り込まれ,それまでにない不思議なイメージが生み出された.また,同じ装置が電子音も発生させるので,映像とともに音も松本が制作している.

《エニグマ》や《ホワイトホール》は,幻想的な夢のような映像を三次元のコンピュータ・グラフィックスではなく,スキャニメイトとタイトル加工装置を使って作られている.擬似的に立体的な奥行きを作り出す工夫が丹念に施されている.

これらの非再現的な映像作品から,上映空間を動き回りながら鑑賞されるマルチ・プロジェクションの作品にまで通底しているのは,映像を調和的な全体性を形作るものではなく,予測不可能なものとして作り出そうとする考え方である.


《モナ・リザ》

《エニグマ 謎》

《ホワイトホール》