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12月12日(日)午後1時
12月12日(日)午後4時
12月19日(日)午後1時
12月19日(日)午後4時
2004年11月3日(水・祝)─12月26日(日)ギャラリーA,B,5Fロビー,エントランス・ロビー






インタヴュー

聞き手 畠中実(ICC学芸員)


畠中:まずはこの大規模な個展への意気込みなどを聞かせてください.

土佐:明和電機の展覧会の中で最大規模,そして最新の展覧会です.これまで開発してきた「魚器(NAKI)」シリーズ,「ツクバ(TSUKUBA)」シリーズに加え,新作の「エーデルワイス(EDELWEISS)」シリーズ,商品の開発過程など,これまでとこれからの明和電機の世界をすべて発表します.

畠中:これまでのシリーズから新たに「エーデルワイス」シリーズを発想されたきっかけはどのようなものですか.

土佐:「魚器」シリーズを作っていたときは,「創造性とは何か?」という問題を考えるプロセスで,その対極の「死,破壊」に向かっていました.また分析的な手法も多く使いました.たくさんの魚を殺しましたし,残酷な製品も作りました.冷静な視点から生まれたものでしたが,創造性についての答えは見つかりませんでした. 「エーデルワイス」シリーズは,そうではなく,もっと感覚的な世界を大切にしていこうと思ったのです.恥ずかしい話なんですが,僕は中学生のとき「ポエム」を描いていました.今見ると,とても恥ずかしく直視できない.でも,そのポエムの持っている感覚的な表現っていいなあ,と思ったのです. そして「女性」をモチーフにした製品作りをしてみたいと思いました.メスにまつわる象徴的なキーワード,「生殖」,「ファッション」,「表層」,「遺伝子」,「再生」などが,「花」という言葉に集約できるな,と思いました.そしてその「花」を自分の理性と英知で冷却=ラジエートし,結晶化し,製品として実体化してみたい.つまり僕なりの「美人画」を描こうと思ったわけです.古今東西の芸術家はみんなやってますね.

畠中:作品を制作するにあたって,その世界観を物語として提示するというのがこれまでとは違うところだと思いますが.

土佐:「エーデルワイス」シリーズの中心には「EDELWEISS PROGRAM」という物語があります.この物語をまず作り,そこからインスピレーションを受けた道具や機械を作る.「魚器」シリーズでは,思考をそのまま製品に落とし込み,場合によってそこから物語を作っていたので,まったく逆のプロセスになっています.「エーデルワイス」シリーズは,例えるなら「源氏物語」があって,そこから「貝あわせ」や「硯箱」のような工芸作品が生まれるのと似ています.

畠中:これはたとえば何代にも続く壮大な物語へと展開したりするんでしょうか?

土佐:すべての物語の言葉が作品に置き換わる.そしてときには作品が言葉となって物語に新たに記述される.そうやって「エーデルワイス」の世界は有機的に膨らみ続けるでしょう.いつ終わるか僕にもわかりません.ただ「魚」「花」の次は「石」をやりたい.そうして人生を終えたい.今はまだ花のこころを掴むことで手いっぱいですが.

畠中:歌うロボット《セーモンズ》の登場など,今回のICCの展示では「エーデルワイス」の物語の世界がさらに拡大されて展示されることになりますが,少しその展開のさわりを紹介していただけますか?

土佐:今回のICCの「エーデルワイス」の展示で作りたいのは「教会」です.「EDELWEISS PROGRAM」という「聖典」があり,それを絵にした「絵画」があり,それを道具や機械にした「神具」がある.パイプオルガンのような宗教音楽の役割を《セーモンズ》や《マリンカ》が担います.会場全体が「エーデルワイス」の世界観を効果的に伝える空間にします. 一般的に教会というのは,庶民にわかりやすく教義を伝えるためのスペクタクルな空間なわけです.シンメトリック(左右対称)な祭壇と,教義を表した絵画や彫刻が並び,ロウソクやステンドグラスによる光の演出があり,お香が焚かれている.いままでそういうものに触れたことがない庶民をですね,その空間の中に連れて行って,パイプオルガンをドカンっと鳴らしたら,どんな無神論者も「神よ!」となるわけですよ.僕も作ってみたいですね.そんな空間を.



EDELWEISSの世界を人形で表したジオラマ
2004