ICC

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「アーティスト・トーク/パフォーマンス」
7月11日(金)
7月12日(土)
7月13日(日)
8月10日(日)
関連ワークショップ




「サウンド・アーティストになってみよう」

2003年7月11日(金)—9月28日(日)ギャラリーA,B





はじめに


「サウンド・アート」は,現在,多くのアーティストがその表現手段として意欲的な試みを行なっている,世界的にも注目を集めているジャンルといえるでしょう.当館で『サウンド・アート—音というメディア』展を開催した2000年以降だけでも,多くの「サウンド・アート」あるいは「音」をテーマにした展覧会が各地で開催されています.
 それらの展覧会では,聴覚や知覚を問題にするものや,あるいは「音」というものの物理的な側面に焦点をあてたものなどがあり,その作品は非常に抑制された表現ながら,わたしたちの感覚や想像力を存分に喚起させる強度を持つものでした.
 そうしたこの数年の動向から,今回ICCで開催する展覧会『サウンディング・スペース──9つの音響空間』では,国内外からの6人と3組のアーティストたちによる,空間を「サウンド」させる作品を展示いたします.

 今回ICCに作られる9つの「サウンドする空間」では,わたしたちはその空間を体験する観客であり,またある作品ではその作品を作り出す要素でもあります.それは因果関係の明確なインタラクションではなく,例えば作品空間の中に足を踏み入れることで空間の状態に変化がおき,空間における音響の自己生成を促すようなものなどです.あるいは物語や音によって喚起される情景によって感情がさざめくような,そんな「サウンド」も体験できることでしょう.
 本展覧会では,ガラスの容器の中の空間でおこるマイクとスピーカーのフィードバックによって美しい響きを生み出すアルヴィン・ルシエの作品,空間の特性によって生じる音の差異によって「空間を聴く」デイヴィッド・カニングハムの作品,空間の音をコンピュータでリアルタイムに再合成して生み出される映像と高周波音響によって,その相互作用を促す久保田晃弘の作品,マイクから入力された観客の声などを合成,変調して音楽を作り出すラファエル・トラルの作品,壁状になった40個のスピーカーを用いて,現実空間を現出させるエドウィン・ファン・デル・ハイデの作品などが展示される一方,空間に張り巡らされた磁気ケーブルから発される音を受信機付きのヘッドフォンを装着して人工の自然環境を聞くクリスティーナ・クービッシュの作品,極小の音量と人間の可聴域の限界に近い周波数を用いたリチャード・シャルティエとテイラー・デュプリーによる作品,箱庭から小さな物語を紡ぎ出すアレハンドラ&アーロンの作品,稲田光造ほか6名からなるグループ,スーパーシートによる無響室を使用して特殊な音響体験を創出する作品など多岐にわたる作品が展示されます.
 そこでは,音によって空間を顕在化させたり,空間を生じさせたり,あるいは音による物語やスペクタクルなどさまざまな方法によって,さまざまな空間を体験できることでしょう.