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5月7日(木)
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6月18日(木)
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映像作品上映シリーズ
カタログ
 
1998年4月24日(金)〜6月21日(日) [終了しました.] ギャラリーA,D





はじめに


遠くの事象(テレ)が,いま,ここに,現れる(プレゼンス).テレプレゼンスとは,いま,私たち自身のいる「ここ」で,隔たった場所や異なった時=「そこ」を体験できる技術の総称である.テレプレゼンスを体験することによって,私たちは時間や空間に対する知覚の本質的な変更を求められる.それは私たちの生きているこの現実という時空間の構造の外に,それとは異なる世界があり,そこへ入り込むための技術と方法さえ見つければ,その世界との通路を開くことが可能なのだということを提示している.重要なことは,従来の世界の基盤である物質的なものが,いま,ここにあるのとは,異質なあり方で,その世界が存在しているということである.その世界の存在の形式は多様で,構造自体も複雑な質を持っている.私たちはこの事実を積極的に 受け入れ,より意味深い新しい世界を構成してゆく時代に生きている.私たちは,今,現実を大きく超えたものに目を向け,その世界と対応してゆかねばならない.テレプレゼンスは,このかたくなな現実を超えてゆく人間の想像力の働きと,実は緊密に結びついていると言えよう.

本展は,このようにテレプレゼンス(遠隔現前/遠隔操作)の概念や技術を,「共同創造」「記憶と無意識」「精神交流」「原始感覚」「多層現実」「聖性」といった視点から読み返し,新しい世界ヴィジョンを探ろうとする試みである.ひとつの仮想空間に場所を隔てた人々がアクセスして独自の新しい世界を生成させてゆく遠隔空間共有や,時間を超えて過去と現在が共振するテレパスト(遠隔過去/追体験)など,情報空間上の新たな聖地を横断しながら展開する展覧会となる.そこでは西洋や東洋,過去や未来,内部と外部といった境界が消えた不思議なイメージ・ワールドのアクチュアリティを感じとることができるだろう.