現在の私たちのコミュニケーションは,テクノロジーを通じてオンライン/オフラインを含め,様々な形をとっています.特に私たちのコミュニケーションのかなりのヴォリュームを占める,SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サーヴィス)などにおける非同期のコミュニケーションは,私たちを孤立させ分断するのではないかと危惧する声も少なくありません.
《Neighbor》は,脳科学者,パフォーマンス・グループそして音楽家の協働によって生まれた,ダンサー2名と体験者2名によるメディア・アート・パフォーマンスです.主観的な時間と空間を操作するSubstitutional Reality(SR)技術*を用い,コミュニケーションの新しいかたちを作り上げることを目標として制作されました.《Neighbor》を通じて個々の体験者の間に立ち上がるユニークな関係性は,テクノロジーが私たちのコミュニケーションに与える新しい可能性を示しています.
《Neighbor》は2016年6月にプリント・スクリーン・フェスティヴァル(テルアヴィヴ,イスラエル)にて発表され,同年9月には,アルス・エレクトロニカ・フェスティヴァル 2016(リンツ,オーストリア)にて上演されました.今回の公演は,日本では初めての機会となります.
*Substitutional Reality(SR)技術:理化学研究所で開発された主観的な現実を操作する技術.過去に撮影された映像と目の前で起きていることの映像を切り替えたり重ね合わせたりして,その画像をヘッド・マウント・ディスプレイに表示することで,目の前に見えている世界が現実なのかそうでないのかを区別することを難しくする.
Neighbor
製作,監修:藤井直敬
構成,演出,映像:タグチヒトシ(GRINDER-MAN)
振付:伊豆牧子(GRINDER-MAN)
音楽,サウンド・デザイン:evala
出演:京極朋彦,花島令
照明:藤原康弘
SRシステム・デザイン:濱條貴光
衣装:中村実樹
neighbor.grinder-man.com
ご鑑賞にあたって
《Neighbor》のご鑑賞には,観覧と体験の2つの方法があります.
観覧
各上演時間に会場へお越しください.なお各回の終わりにはアーティストおよび体験者による簡単なトーク・セッションを予定しています.
体験
各回の整理券を,当日午前11時よりICCにて配布します(各日定員:男性27名,女性27名).
・体験者対象:18歳以上
・1 回につき男女1 名ずつのペアでご体験いただく性質上,性別ごとに定員を設けさせていただきます.なお,体験するペアは,同一回の参加者のなかからランダムに組み合わせます.
・体験の所要時間は1回につき約10分です.ヘッド・マウント・ディスプレイを装着して,起立状態で体験します.
・作品の性質上,杖や車椅子を利用されている方の体験はお受けできません.
・眼鏡や補聴器などをお使いの場合は,体験時に外していただく可能性があります.