チャンネルICC
現在開催中の「[インターネット アート これから]——ポスト・インターネットのリアリティ」展をご紹介します.
「[インターネット アート これから]——ポスト・インターネットのリアリティ」展は,インターネットが日常化し,情報世界に包摂された現実世界としての今日の状況において生み出されている,現在のネット環境に由来する表現を「ポスト・インターネット」としてとらえ,これまでに現われた事例などから,ネットと表現のこれからを考察する試みです.
準備は設置作業前の壁の建て込みからはじまります.今回の企画展は,可動式の壁でそれぞれの作品ブースを仕切っています.
可動式の壁を作家が最終調整しています
エキソニモ
《祈》は,2つの光学式マウスを手を合わせるように組み合わせることで,カーソルが勝手に動き出すことを利用して制作された作品で,連作《ゴットは、存在する。》(2009)を構成する作品のひとつです.6台のコンピュータをセットアップしています.
アーロン・コブリン+川島高
《10000セント》は1万分割されたアメリカ合衆国100ドル紙幣を,のべ1万人の匿名の人々に再描写してもらうプロジェクトです.近づいて見てみると,正確に描画されたものや関係ないものが描かれていたり,描かれ方は多種多様であることがわかります.
パーカー・イトー
《インターネット史上最も悪名高き女性》はネット上で「parked domain girl」として知られる,ドメインが失効した際に表示されるある女性の写真を油絵で描いた作品です.展覧会オープン時には3枚だった絵画が、その後10枚追加展示されました.さらに追加される予定です.
展覧会開始当初は3枚だった絵画が
2月21日,10枚追加され13枚になりました
DJぷりぷり=金太郎
設営期間中のDJぷりぷり=金太郎です.会場内のディスプレイには,DJぷりぷり=金太郎の目撃情報ツイートがリアルタイムで表示されています.姿を見かけた際には,ぜひツイートをしてみてください.
谷口暁彦
《夜の12時をすぎてから今日のことを明日っていうとそれが今日なのか明日なのかわからなくなる》はアナログの壁掛け時計と,その同じ時計が映像として映し出されているモニターが隣りどうしに並べられている作品です.映像内の時計が同じ時間を刻むよう,プログラムにより厳密に制御されています.
二艘木洋行
たくさんの絵や画材が搬入されています.今回の展示では,二艘木さんの絵と一緒に,ふだん使われているコンピュータやCDなども置かれ,二艘木洋行とお絵描き掲示板展は小さな部屋のような空間になっています.
dividual
《タイプトレース道――舞城王太郎之巻》はコンピュータ上のタイピング行為を記録し,再生することができるソフトウェア「TypeTrace」を用いたインスタレーションです.会期中には舞城王太郎による新作小説が執筆されます.
本展覧会では,展示だけでなく座談会やアーティスト・トークも不定期で開催しています.2月11日開催の座談会「ポスト・インターネットを読む」では,「ポスト・インターネット」とはどのようなことなのか,「ポスト・インターネット」の質感で挙げられているキーワードをもとに,それらを読み解く手がかりとなるウェブサイトや作品を紹介しながら議論が進められました.採録は,「座談会の記録」ページ内で近日公開予定です.
下の写真は2月23日開催「二艘木洋行とお絵描き掲示板展 ライヴお絵描き」の様子です.出演者は,ふだんどのように絵を描いているのか,ツールや手法,お絵描き掲示板ごとの特徴などについて話しながら,交代でライヴお絵描きを行ないました.
左から:蚊にさん,アニュウリズムさん,ニ艘木洋行さん
会場奥に設けられた特設ステージでは,不定期でこのような座談会やイヴェントが開催されます.最新情報は本展ウェブページ内,ニュース,関連イヴェントのページやTwitter,メールマガジンでもお伝えしていきますので,どうぞお楽しみに.
なお,先にご紹介したパーカー・イトーの絵画の追加展示など,会場では展示および作品のアップデートが行なわれています.本展覧会では,1枚のチケットでご本人に限り何度でも再入場可能です.ぜひ何度か足をお運びいただき,会場がアップデートされていく様子をご覧ください.
[インターネット アート これから]——ポスト・インターネットのリアリティ
会期:2012年1月28日(土)—3月18日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーA
開館時間:午前11時―午後6時(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日
入場料:一般・大学生500円(400円)
* ( )内は15名様以上の団体料金
* 会期中ご本人に限り何度でも再入場可能
* 身体障害者手帳をお持ちの方および付添1名,65歳以上の方,高校生以下は無料
主催:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
/ja/feature/2012/Internet_Art_Future/index_j.html
[N.C]