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《指紋の池》 [2010] “Pool of fingerprints”

ユークリッド(佐藤雅彦+桐山孝司)

《指紋の池》

作品解説

液晶ディスプレイに,多数の指紋が魚の群れのように泳いでいます.指紋認証センサーに指を置くと,自分の指紋がスキャンされて液晶ディスプレイの中に現われます.すると,まるで池に放流された魚のように,自分の指紋が泳ぎ出し,ディスプレイの中を泳いでいる指紋の群れの中にまぎれていってしまい,どれが自分の指紋なのか判別できなくなってしまいます.もう一度,センサーに同じ指を置くと,指紋の群れの中から自分の指紋が現われ,自分の指へと帰ってきます.

指紋は,個人それぞれで同じものがないという特徴をもつため,個人認証から犯罪捜査まで,古くから個人を識別,同定するための指標(目印)とされてきました.現在では生体認証技術にも多く利用され,指紋によって正確に個人を同定することができます.しかし,私たちはそのような自分しかもちえない個人の特徴を,日常的には認識することができません.

指紋がスキャンされ,自分の身体から分離されて池の中に泳いでいってしまうとき,それを自分の分身のように感じるかもしれません.そして,分身である指紋が自分の指に帰ってくるときに,ふだん私たちが気にも留めることのない,自分の属性のひとつである指紋というものに対して,それまで感じたことのない,「いとおしさ」や「いつくしみ」を感じることができるのです.


機材提供:日本サムスン株式会社(2010年)
技術協力:日本電気株式会社,藤田至一(東京藝術大学)

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