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《もしもし、の一秒前》 [2018] “Moments Before “Hello!””

岡ともみ,渡邊淳司

《もしもし、の一秒前》

作品解説

本作品の体験者は,モニタに映された複数の空間のうちのひとつに電話をかけることになります.電話のある場所は,映像ごとに少しずつ異なっており,街灯の下,または玄関からお茶の間,そして個人の部屋へと,電話がその発展とともに共同体の中に浸透していく過程を描いています.ふだん何気なく聞いている電話のコール音は,テレビを見ながらお茶を飲んでいた夫婦を立ち上がらせ,寝ていた女性を起こし,時には誰も出ない電話の向こうで黒猫に電話を偵察させます.私たちは相手が電話に出て初めて誰かと「繋がり」,向こう側の世界と接続したと体感しますが,その一方で,電話は家族のコミュニティや生活空間の中にある種の暴力性を持って侵入し,空間を変容させているのです.

1890年に我が国最初の電話サーヴィスが開始されてから一世紀以上が過ぎました.手動交換に始まり,ダイヤル式固定電話,携帯電話,スマートフォンへと,電話は進化しその形態を変えていますが,その人がいる場所とは関わりなく,任意の点と聴覚的に場を共有するメディアであり続けています.電話をかける時,人は路上にいようと,電車にいようと,家にいようと,意識的には電子的に接続された場の中に生きています.その結果,旧来の物理的な位置関係に依存した共同体は解体され,全く新しい次元での「隣人」が台頭しているといえるかもしれません.


制作:岡ともみ/渡邊淳司(NTTコミュニケーション科学基礎研究所,NTTサービスエボリューション研究所)
機材協力:NTT東日本 千葉事業部
制作協力:福田芳巳(NTTネットワークサービスシステム研究所)

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