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《飛び出せ↑レコード》 [2015] “Flying↑Record”

大島拓郎

《飛び出せ↑レコード》

作品解説

技法:予め吹きこまれた音響のない(もしくはある)レコード

ラジオ放送の開始やウォークマンの登場により音楽の表現が変化していった歴史から,音響メディアが音楽に与える影響の大きさがわかる.その中でも,記録容量が音楽の長さを決定するように,時として音響メディアが音楽の表現そのものを狭まる場合がある.それはレコードでも同様で,その直径と回転数によって曲の時間が決定されることもさることながら,形としての水平な円盤型や,針の正しい扱い方など,レコードに対する“当たり前”によりそこから発生される音響は制限されている.言い換えれば,聴衆は制限された音響のなかで音楽の消費を迫られている.その中で,レコードを直接手で触りコントロールするスクラッチは“当たり前”を覆し音楽の幅を広げた良い例である.

本作品はターンテーブルに対して垂直に飛び出る螺旋形状をしたレコードである.レコードを再生するとターンテーブルのアームは螺旋形状に沿って段々と持ち上げられ,螺旋の最高点に到達すると落下する.盤面には異なる音響の溝が複数刻まれており,アームの落下時にターンテーブルの針がいずれかの溝に収まるため,次に再生される音を鑑賞者は予測することができない.

レコードに打ち付けられるターンテーブルの針,溝ではなくレコード自体によって動かされるアーム,盤面に刻まれた後も変化し続ける再生音.通常とは異なるレコードの様相を示すことで音響メディアへの“当たり前”を揺さぶり,鑑賞者のレコードの盤面を少し広げる.

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