本解説書では,私たちの生活の中に存在する道具たちを<見過ごされるもの>とし,それらを発見(再認識)すること,発見したものについて探求すること,また探求した結果を再構成するという過程によって作られた2作品「池田町物見図録」「もし私が家も(お金も)なくしてしまったとき」についての解説を行う.
このタイトルで使われている「モノ」という言葉は,身体の拡張を促すための機能を持った存在として,社会的な背景を想像させたり,意味付けを行っている道具を総じて「モノ」と呼ぶ.
「意識する」「記録する」「再構成する」これらを合わせた流れを使うことでモノをみるときの新たな視線を作れるのでは,と思い当たった.そこで具体的な方法として「意識する」を「採集」に,「記録する」を「スケッチ」へ,「再構成する」を「話」と割り当て,それらを一つの流れとしてみた.
また本以外にも「複製」として「話」に書かれたモノを模した状態,つまりモックアップを置くことで,言葉だけでは伝わらない部分の補助とした.そのように,既存の道具に対して新たな用途を組み合わせた場合,どのような価値や文化が生まれるのかを問うために,その検証として2つの方法を提案・実践した2部構成の作品である.