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《Culturing <Paper>cut》 [2013] “Culturing <Paper>cut”

岩崎秀雄

《Culturing &lt;Paper&gt;cut》

作品解説

身近な池から採取したシアノバクテリア(光合成を行う細菌)が,生物学論文(paper)を素材とする切り絵を配した培地上で培養(culturing)され,ゆっくりと成長・運動しながら複雑なパターンを描いている.バクテリアがある程度成長したら,シルクスクリーンのように紙部分を新たな培地に移植することで,パターンを不正確に複製すべく再利用できる.ここで,素材となっている論文は,シアノバクテリアの形態形成や体内時計に関する自前の研究成果の一部である.客観性を旨とする科学論文には,実際には強度の主観的見解,主体的観察の過程が刻印されている.この作品では,研究者の能動的行為を示す部分や一人称的な記述が切り取られ,バクテリアがそれにとって代わっている.図の部分は敢えて残した.生物学の論文において,図は重要な位置を占めており,論文は図の脚注といってもよいくらいである.このため,科学論文の図は独特の視覚文化様式を備えている.つまり,ここには科学的表象としての図,工芸的な造形としての切り絵,ジェネラティブなバクテリアのパターンの三者の意匠が共存しながら絡み合っている.ここで描き出されるシアノバクテリアのパターン形成は,表現メディアであるとともに,生物学研究の対象でもある.その一端は,併設されているオープンラボでも会期中にライブで行われる予定である.(岩崎秀雄)

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