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《Blue-blue green is green》 [2013] “Blue-blue green is green”

齋藤帆奈

《Blue-blue green is green》

作品解説

「青」は旧来緑色の色相範囲も含む寒色全体を指す言葉だった.この使い方は,新鮮な野菜など,活き活きとした緑を指す慣用句の「青々」という言葉に残っている.日本語における「緑」と「青」の境界は曖昧なのだ.これに対して,英語の「Green」は芽吹きや熟していない果実が起源となり,指す色相は,より黄色の範囲に近い.「Green」は「緑色」を指す形容詞だが,日本語の「緑」と同じく青物野菜や,緑地を指す名詞としても機能する.この名詞としての用法は,日本語においても「グリーン」という外来語として用いられ,整備された都市の植え込みや,よく手入れされた観葉植物など,「緑」や「青」とはまた違った都会的な植物のイメージをもたらしている.「新鮮な緑」という意味を指す「青々としたグリーン」という言語表現は,用法として間違っているわけではない.しかし,本来の「green」の指す色相は黄色に近く,この意味で「青々としたグリーン」は矛盾した表現であるとも言える.それでいて,青々としたグリーンという用法は,より一層「緑である」ということを表現している.

本物の「緑」は,存在するのだろうか?

文字の形に曲げられたガラス管の中を流れるのは,植物の緑色の原因物質である葉緑素を最も古くから持っていたとされるシアノバクテリア,つまり「藍藻」(blue-green algae)である.藍藻は,文字の中を流れながら徐々に増殖し,最初はほとんど透明にしか見えなかった文字を「緑色」に染上げていくだろう.(齋藤帆奈)

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