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《オートノマス・トラップ 001》 [2017] “Autonomous Trap 001”

ジェームズ・ブライドル

《オートノマス・トラップ 001》

作品解説

《オートノマス・トラップ 001》は,進入可能(破線)と進入禁止(実線)という道路交通ルール上相反する意味をもつ線で描かれた円によって,自動運転車を「罠にかける」様子を記録した映像作品です.《勾配上昇法》は,山を登る車に設置されたカメラとセンサーが収集した情報を自動運転システムが処理している様子に,神話や技術の発展に関する思索が,ルネ・ドーマルの未完の小説『類推の山』(1952)の引用とともに重ねられていく映像作品です.

作家は,自律走行や人工知能の技術を理解するために,自分で自動運転システムを開発しました.その背景には,人工知能が飛躍的発展を続ける現代において,科学技術が人間の完全なコントロール下にあるとは言いきれないこと,私たちの世界に対する認識が科学技術の発展に伴い更新されていること,それゆえに科学技術を理解することへの努力を怠ってはいけないという考察があります.

「勾配上昇法」は,自律走行技術で用いられる機械学習でも多用される最適化アルゴリズムのひとつで,関数の最大値を求めるものですが,容易に山登りを連想させます.古来より,なにかを追求し極めることは,登山に喩えられてきました.両作品が撮影されたパルナッソス山は,古代ギリシャ神話において芸術や学問の象徴です.世界を秩序立てて理解するために生まれた神話の役割は,現在は科学技術が担っていると作家は言います.神話に異なる解釈を加えることで現代性を見出すのと同様に,技術がどう成立し,振る舞うのかを常に注視することは,世界を知ることそのものなのです.

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