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イアラ・リー Iara LEE

イアラ・リー

プロフィール

韓国人の両親のもとでブラジルに生まれ育つ.映画業界でのキャリアを,サンパウロ国際映画祭のプロデューサー兼企画者としてスタートさせ,1984年から1989年まで在任.その後ニューヨークに移り,映画制作会社「カイピリンハ・プロダクションズ」を創設.

カイピリンハでは監督として,短編映画3本「プルフロック」「ネイバーズ」「オータム・ウインド」,長編映画2本「シンセティック・プレジャーズ」と「モデュレーション」を手がけた.現時点での最新プロジェクトは,今回ICCで公開される,フィルムシリーズとインスタレーション作品「アーキテチュラ」である

あらゆる人工的なものについての映画「シンセティック・プレジャーズ」は,カイピリンハを通じ,全米70以上の都市で自主上演され,世界中の劇場やテクノロジー関連イベントの常設作品として絶賛されている.電子音楽を探索する映画「モデュレーション」は1998年1月にサンダンス映画祭で初上映された後,ベルリン映画祭でヨーロッパ・デビューを飾った.この映画はアメリカ,カナダの映画館で上映され成功をおさめた.現在でも世界中の音楽祭や映画祭で上演されている.2000年秋には,映画をもとにした本の出版も予定されている.

カイピリンハ・ミュージック(レコード・レーベル)

1997年はじめに映画の制作/配給会社から音楽業界に進出し,わずか3年でアメリカの電子音楽レコード・レーベルのなかでも批評家から絶賛される際立った存在に成長した.カイピリンハ・ミュージックはエレクトロニクスと他のアート形式との融合に重点を置いている.また,レーベル創設当初から国境を越えたあらゆるメディアのクロス・コラボレーションを推進し,不可思議でエキサイティングな音楽体験を育んでいる.カイピリンハ・ミュージックがリリースした30枚のCDは,映画のサントラ,フルアルバム,冒険的なコンピレーションアルバムなど多岐にわたり,なかでも,ミクストメディア・プロジェクト「アーキテチュラ」CDシリーズでは,ミュージシャンが招かれ,建築フォルムからインスピレーションを得た作曲を手がけている.

映画作品リスト| FILMOGRAPHY

長篇ストーリー作品,製作中

カイピリンハ・プロダクションは「オブリーク」の制作を進めている.これは,ブラジルの有名な作家マチャド・デ・アシスの19世紀の古典小説「Dom Casmurro」をベースにした作品である.「オブリーク」は物語映画で,監督のイアラ・リーとプロデューサーのジョージ・グンドの初の共同制作作品である.

イアラは,アシスの小説を現代風に脚色し,現代のブラジルの首都,ブラジリアでの撮影を予定している.ブラジリアは1950年代に有名な建築家オスカー・ニーマイヤーが設計した都市である.奇抜な未来的外観で知られるこの都市は,作品に興味深く魅惑的な背景を与えるであろう.

「オブリーク」は,思春期の純粋な恋が幻滅と憎しみに変わるという古めかしい恋と裏切りの物語である.しかし,本当に裏切りがあったのかどうかは誰にも分からない.激しい嫉妬で身を滅ぼした男の悲劇的ストーリーは,私たちの心に,悲しさ,むなしさ,誤解,人間の愚かさを残す.

「アーキテチュラ」
マルチ・フィルム・インスタレーション/2000年

カイピリンハ・ミュージックのCDシリーズ「アーキテチュラ」と連繋して制作された「 タワー・オブ・ウィンド」「ターミナル・ハピネス」「エンクローズド・ネイチャー」「 モニュメンタル・ミニマリズム」の4本からなるこの巡回するインスタレーションのための映画は,グローバリゼーション時代の音楽,映画,現代建築の融合を探索する.映画は,ミニマリズム,純粋性,透明性をテーマとして扱い,建造物は文章を使わずに空間,時間,コンテクストの従来の概念を再評価する.

「モデュレーション—耳で観る映画」
長編ドキュメンタリー/1998年

「モデュレーション」は20世紀の最も深遠な芸術的発展ひとつである電子音楽の進化の歴史をたどるものである.前衛作曲家,クラフトワークの革新的なシンセサイザーによる持続音,ジョルジオ・モロダーの冷ややかなユーロディスコ,アフリカ・バンバータのエレクトロファンク,現在の国際的スーパースター,プロディジーなどの活動を交互に映し出しながら,テクノミュージック・サウンドの自由奔放な流れをたたえ,模倣し,浮かび上がらせる.インタビュー,最先端のビジュアル,スタジオ撮影フィルム,ライヴパフォーマンスの美しいコラージュをフィーチャーした「モデュレーション」は,音楽のエネルギーと革新に同調するようなテンポで進行する.

「シンセティック・プレジャーズ」
長編ドキュメンタリー/1996年

「シンセティック・プレジャーズ」は,日本の巨大な屋内ビーチに焦点をあてた短編映画としてスタートしたが,風景,美,セックス,そしてインテリジェンスをも含めたすべトの人工的なものを対象とする長編となった.上演時間83分の本作品は,世界中の50以上の映画祭に登場し,全米70以上の都市で上映されて大成功をおさめた(カイピリンハ・プロダクションによる自主上映).『ニューヨーク・タイムズ』,『サンフランシスコ・クロニクル』をはじめとする多くの新聞やオンライン雑誌などで,魅力的,刺激的で,恐ろしささえ感じる映画という絶賛を浴びている.

「オータム・ウインド」
カラー/6分/1993年

書と尺八の奏でる音楽がこの映画に詩情を添える.秋の京都で撮影したこの実験的作品は,松尾芭蕉の俳句と現代の詩人アレン・ギンズバーグを並列的に取り上げている.

「ネイバーズ」
カラー/13分/1992年

ストーン家は旅行にでている.ビル・ミラーとアーリーン・ミラーは子猫に餌をやり,植物に水をやることを頼まれた.最初は好奇心から隣人の生活をのぞきはじめるが,最後は強迫観念に取りつかれる.レイモンド・カーヴァーの短編小説をもとにしたこの作品では,好奇心からファンタジーが生まれている.

「プルフロック」
モノクロ/4分/1991年

イアラ・リーの最初の短編映画「プルフロック」は,T.S.エリオットの「J.アルフレッド・プルフロックの愛の歌」をもとにした実験的映画詩で,ナレーションをマット・ディロンが担当している.

[2000]

展示 & イヴェント