ICC

概要
『TUNE-A-FISH』は、多数の参加者が集う三次元空間をネットワークという「海」に作成するプロジェクトであり、GOG(Global Open Game)を推進することを目的としている。GOGにふさわしいネットワークは広く開かれたインターネットである。そして、このプロジェクトは様々な分野に変化をもたらしているインターネットの普及に対する返答でもある。ネットワークで味付けした既存のゲームではなく、ネットワークを前提とした新規のゲームである。

ネットワーク・ゲームの「楽しさ」は対戦ではない。対話である。ネットワークを使用すれば「作る側と遊ぶ側の対話」が可能になる。これは観客が作家になりうるということを意味しているのだ。ゲームとコンピュータの組み合わせは、コンパクト・ディスクなどの片方向のメディアによって作る側と遊ぶ側の距離を広げてしまったが、ネットワークという双方向のメディアによって本来の姿を取り戻すことができるのである。

『TUNE-A-FISH』の参加者は、観客でもあり、作家でもある。観客としての参加者は三次元の海を移動することができる。インターネットを海に見立てると、その二次元の海上をサーフするのではなく、その三次元の海中を散策するのである。作家としての参加者は三次元の海に「魚」を追加することができる。既存の魚を「チューニング」してもよいし、新規の「何か」を創造してもよい。

『TUNE-A-FISH』の三次元の海は広く開かれた空間である。この空間は多数の参加者が共有しており、観客としての参加者は作家としての参加者が追加した魚を観察することができる。つまり、この空間は美術館でもあるのだ。また、この三次元の海は動的な空間である。商店が並んでいる街のような静的な空間ではない。魚はその形を変えながら移動することができる。参加者が制御する魚もいれば、プログラムが制御する魚もいる。魚は対話することができる。参加者同士で対話することもあれば、プログラム同士で対話することもあるだろう。参加者が制御する魚とプログラムが制御する魚はその外見的特徴からは区別することができないため、参加者がプログラムと対話していることに気付かないといった事態も起こりうる。

今回発表するものは文字/静止画/動画を用いたWWWによるプロジェクトの説明であり、現時点では三次元の海を実現できてはいない。しかし、VRMLやJavaなどによって技術的な障壁は低くなりつつあり、変化する状況に応じて段階的に具体化する予定である。

(文・Yana)


海の散策

まずは潜水艦に乗って海の中を散策してみましょう。常に変化し続ける3D環境をあなたは自由に移動することができます。そこは、あなただけの「まぶたの裏の世界」であるのと同時に世界中の人々が集う海でもあります。潜水艦はいわばネットの海を散策するブラウザです。

例えば、あなたがこの海で 魚に出会ったとします。 その魚はあなたの知らない誰かが 地球の裏側から放った人工生命なのかもしれませんし、魚の姿を借りてこの海でパフォ-マンスしている、ユーザーなのかも知れません。潜水艦からソナーを使ったり、ライトを当てて合図してみましょう。きっと、予想もつかない反応が返ってくるはずです。

この海は世界中の人が同時にアクセス出来ます。あなた以外の散策者と遭遇することもあるでしょう。そんなときはお互いに発見した物を教えあったり、仲間になって一緒に散策することも楽しいと思います。


(文と絵・榑林隆夫 飯田和敏)


生物の創造
潜水艦で散策するだけでなく、あなたも生物として、この海の住民になることができます。 エディタを使用して世界で唯一のオリジナル生物を創ってみましょう。エディタはユーザーレベルに応じて様々な機能を持ったものが提供されます。

エディタはそれ自体を単体のアプリケーションとして楽しむ事が出来ます。ゲームをしながら生物が成長していったり、遺伝子操作により新種を開発するなどをして、ユーザーは複雑さを意識することなく生物を創造することが出来ます。

エディタの例を一つ上げます。このエディタは難しい3Dグラフィックスの知識がなくても、簡単に生物を造ることが出来るものです。操作方法は画面に描かれている五本の線の上に丸を置いていくだけというとても単純なものです。ここまで読んでピンときた人も居るでしょう。 そうです。この五本の線は音楽で使われる五線譜です。「楽譜なんて・・・」という人でも 大丈夫。適当に並べるだけでもOKです。名曲を入力してどんな生物が生まれるのか試して みるのもいいでしょう。これは音で遺伝子を操る不思議なエデイタです。もちろん造り出された生物を別のエディタで編集する事もできます。

プログラムの知識のある方は、 規定のインタ-フェイス(T.F.O.)にそってエディタそのものを作成することができます。詳しくは仕様書を参照して下 さい。

考えられるエディタとしては以下のような物があります

(文と絵・榑林隆夫 飯田和敏)



(C)1995-1996 Iida(Param),Kure(Param),Yana(Param)


e-mail:masuyama@netshopboys.or.jp