ICC
OS2015
展示作品
《knowns, unknowns and the irreversible》
2015年
平川紀道

《a circular structure for the internal observer》 2008年(参考図版)

この作品は3つの要素から作られています.

コンピュータ上のあるメモリ領域で処理することのできない数に達してプログラムが破綻するまで,アルファベットの文字列を生成し続けながら,その中に現われる実在する人名がハイライトで表示されるもの.

26人の女性にインタヴューした映像の各人それぞれにaからzの文字を割りあて,プログラムによって生成されたアルファベット16桁の文字列と対応するように,aからzの映像から抽出された1ピクセル列を並べ直して1画面を再構成し,毎秒60パターンの顔のイメージを生成し続けるもの.

ある点の集まりが,時間とともに飛び散るような不可逆な現象を映像化したものを逆再生することで,最初の瞬間に示された計算結果から初期状態に戻って行く過程を見るもの.

これら3つの要素は,それぞれ自立した作品でもありますが,今回組み合わされて,インスタレーションとして展示されています.これらの作品は,コンピュータ・プログラミングによる高速,精確な計算過程と,それが破綻するまでの時間を1つの長大な不可逆現象として考える〈knowns〉.個人という固有の顔を元にして,実在の誰でもない「人間」という抽象化されたモデルの生成を試みる〈unknowns〉.現実の宇宙だけでなくコンピュータ・プログラムにおいても起こり得ない時間の逆行を映像によって実現し,超自然的な時間の流れを作りだす〈the irreversible〉となっています.

平川紀道 プロフィール
1982年生まれ.コンピュータ・プログラミングによるリアルタイム処理を用いた映像音響インスタレーションを中心に国内外の美術展,メディア・アート・フェスティヴァルで発表.アルス・エレクトロニカ2008 インタラクティヴ・アート部門優秀賞ほか受賞多数.池田亮司,大友良英,三上晴子の作品制作への参加,ミラノ・サローネへの参加,Typingmonkeysとしてのライヴ・パフォーマンス,ARTSATプロジェクトにおけるアーティスティック・ディレクションなど,活動は多岐に渡る.
過去に参加した展示・イヴェント

関連イヴェント


アーティスト・トーク 平川紀道
ゲスト:丸山善宏
日時:2015年11月1日(日) 午後2時より
[終了しました.]
|→ 詳細|

チャンネルICC


ポッドキャスト「チャンネルICC」にて,この出品作家のインタヴューをお楽しみいただけます.
|→ 詳細|