ICC
OS2014
展示作品
《ジ・イモータル(不死者)》2012年
《影はどこにも見当たらない》2013年
リヴィタル・コーエン&テューア・ヴァン・バーレン dot

上:《ジ・イモータル(不死者)》2012年
下:《影はどこにも見当たらない》2013年
撮影:木奥恵三

《ジ・イモータル(不死者)》では,いくつもの機械がチューブでつながれています.これらはすべて,人間の身体機能を補うために作られた医療機器です.人工心肺装置,人工呼吸器,透析装置,保育器,自己血回収装置,酸素供給器,心電図モニターなどが,ここでは人間不在のままお互いに接続され,それら自体がまるでひとつの生命体であるかのように,作動音を発しながら自律的に塩水(血液の代わり)と空気を循環させる「生体活動」を行なっています.

《影はどこにも見当たらない》では,オオカミがブルーベリーの木々のなかを歩き回っています.設定では,この映像を撮影する赤外線監視カメラは,被写体であるオオカミが動きまわることにより作られた電力で作動します.そして映像を全世界に配信することで,それを見る人が絶滅の危機に瀕するオオカミに関心を寄せるよう期待されています.金属でできた構造物でブルーベリーに狂犬病を予防する栄養素を供給するという構想もあり,これにより,動物,植物,人工物,そして外部からそれを観察する人間による共生関係が実現します.

「手つかずの自然」という言葉があります.この言葉から感じられる,人の手が加えられていない状態を尊ぶ姿勢は,人間と自然を対立する二項としてとらえる西洋的価値観の反映だといえます.この二作品はどちらも,人間と自然のあいだの境界が,その対象や状況によって,いかようにも変わりうるということを異なる視点から示しています.

リヴィタル・コーエン&テューア・ヴァン・バーレン プロフィール
共に英国王立芸術学院(RCA)デザイン・インタラクションズ科を修了した2008年に活動を開始.デザインを芸術的な表現手段として用い,オブジェ,インスタレーション,映像,写真などさまざまな形態で作品制作を行なう.作品ごとに生物学とテクノロジーのあいだに横たわる緊張関係をとりあげ,人間の製造活動を文化的,倫理的,政治的なプロセスとして探求している.

関連イヴェント


アーティスト・トーク
リヴィタル・コーエン&テューア・ヴァン・バーレン

日時:2014年6月21日(土)
午後2時より[終了しました.]
|→ 詳細|