ICC

展示作品


エマージェンシーズ!014
《Scattered Coordinates 1[散らばった座標 1]》
2009-10年
ヤオ・ジョンハン
展示期間:2010年5月15日(土)—8月8日(日) [終了しました.]

撮影:木奥恵三

観客が細い通路の中を通ることで,その動きに反応して明滅する蛍光灯と,それに伴って発される音によるインスタレーションです.はじめは目にまぶしく,耳には雑音のように感じられる,光の明滅やランダムなサウンドは,やがてどこか規則性を持った光の動きとリズミカルな音の動きに感じられるようになるかもしれません.また,変形された空間に包囲されることなどによって,観客へさまざまに作用します.

作家は,激しい風や荒だった波のような自然に対峙したときの体験を例に,それを「情報の飽和」としてとらえています.それは,なにか読み取りえない情報を持ったものが,それゆえに言葉にできない感情の発露を促したり,ノイズとして体験されたりするような状態と言えるかもしれません.たとえば,激しく明滅する蛍光灯の光は,なにか気に障るものでもあり,私たちを混乱させるものでもありますが,そのような外部からの刺激や情報に対して適応することが,この作品の要素のひとつとなっています.光の明滅とそれに伴うサウンドへの観客の反応に対して,作品がさらにその挙動を変化させていきます.また作家は,照明としての日常的な機能を持った,工業製品としての蛍光灯の素材の性質を重要な要素とし,その発するノイズや光の不安定さによる予測不可能なふるまいに着目して作品を制作しています.

ヤオ・ジョンハン プロフィール

ヤオ・ジョンハンは,1981年生まれ,台北の實踐大学インテリア・デザイン学部卒業,2008年国立台北芸術大学美術学院大学院アート・アンド・テクノロジー学科修了.サウンド・アートのほか,映像と音響を複合的に使用したインスタレーションを制作している,台湾の新世代のサウンド・アーティスト.2010年1月から3月までトーキョーワンダーサイトのレジデンス・プログラムで日本に滞在.

関連イヴェント アーティスト・トーク&ライヴ・パフォーマンス ヤオ・ジョンハン
日時:2010年5月16日(日)午後2時より[終了しました.]|→詳細|