ICC

展示概要・作品

「2.5次元の世界」
2006年—
藤木淳


撮影:木奥恵三

立方体のブロックや階段などを組み合わせてできた,3次元の迷路のような空間を,キャラクターが歩いて移動しています.ある視点から,ブロック同士が繋がっていないように見える場合には,そこを歩いて通ることはできません.しかし,視点を変えることで,実際の3次元空間での位置関係ではなく,見かけ上の位置関係において,離れているブロック同士が繋がって見える二点間をキャラクターが歩いたり,ジャンプしたりして移動することが可能です.

モニターに映し出された3次元空間は,実際には画面という2次元平面に投影されています.しかし,わたしたちはそれを経験的に3次元の空間として,頭の中で組み立てなおして把握しています.しかし,その見かけ上の空間が,3次元の空間で起こるはずのものと異なるふるまいをしたらどうなるでしょうか.ここには,3次元空間を2次元で表現する際に生じる錯覚を利用した,いわば「2.5次元」の「だまし絵」空間をコンピュータにおいて実現した作品が集められています.
たとえば《Incompatible BLOCK》では,ある平面に置かれているブロックの見た目の位置を変えることなく,ブロックと平面の間に別のブロックを配置することができます.また《Constellation》では,点の集合が人の形としてコンピュータに認識されると歩き出したり,点で構成される人や犬といったキャラクターが,いつの間にか別のキャラクターに変わったりします.

藤木淳 プロフィール
藤木淳は,プロダクト・デザイン,インターフェイス・デザイン,3Dグラフィックスを学び,それらの新たな可能性を模索していく中で「人間の視知覚特性や認知特性を逆手に取る表現」を行なっている.現在は研究者という立場から制作を続け,だまし絵をモチーフにした対話操作可能な作品などを発表.2008年,作品《OLE Coordinate System》をベースにしたゲーム「無限回廊」が,ソニー・コンピュータエンタテインメントから発売された.博士(芸術工学).

関連イヴェント
アーティスト・トーク 藤木淳,武藤努
日時:2009年5月17日(日)午後2時より[終了しました.]|→ 詳細|