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2003年3月7日(金)—3月23日(日)

コレクション展示


《重力と抵抗:無響室バージョン》
"Gravity and Resistance:The Anechoic Room Version"
2003年

三上晴子+ 市川創太



《重力と抵抗:無響室バージョン》

《重力と抵抗:無響室バージョン》

インスタレーションは,無響室内に仮想の力学場を設定することにより,重力や抵抗,引力磁場のようなものを形成する.この力学場では,体験者の身体の状態・動きによって生まれる力に,常にカウンターバランスとして働くコンピューターの計算による反力が抵抗しあう.力学場内の身体と空間のリアルタイムフィードバックループの力学作用は,身体内の血脈音と立体音響で聴覚化,光(RGB-LED ユニット)による水平線の光量変化によって視覚化される.体験者の身体内の音・波形をモニタリングす る音のセンシング,傾きや体重移動の変位をとる重力センシング,身体の動きを三次元的に検索する位置センシングの三重の螺旋が,力学場による心理状態を含む不均衡なデータとなって空間を変容させていく.光による水平線は,重力センシングと連動しながら境界線を作り,上下感,遠近感,浮遊感,圧迫感を表現する.人はなぜ嬉しい時には上を見上げ,悲しい時は首をもたれ,うつむくのか.私達は精神までも重力に縛られている.上下左右という空間の方向性は,身体が重力の働く環境の中で機能しているという事実から生じ,我々の空間概念に深く取り付いて離れない.この作品空間で提示する重力と抵抗の方向性と力学のプロセスは,身体と空間のダイアローグ環境を再考しながら多義な「重力」の解体の可能性を探っていく.

経緯
このプロジェクトはアーティスト・三上晴子と建築家・市川創太のコラボレーションワークである.1997年にICC常設作品となった三上晴子の無響室での作品「World, Membrane and the Dismembered Body: 存在,皮膜,分断された身体」では,心臓や肺の身体音が体の内部膜を反響しているインターナルな状態とそれが体外へ増幅,数値化されて無響室内でズレを起こしながら反響しているエクスターナルな状態の二重状況が表現されていたが,今回の作品では,無響室内に仮想の力学場を設定すること によって,その力学場が重力にともなう身体バランスによって変化し,常に安定化に向かって働く反力と抵抗しあうという空間の方向性と身体のダイアローグ環境を表現する作品となっている.「重力と抵抗」は粒子が流動していくプロジェクションを使ったバージョンや池田亮司氏が音響を担当する音の層を中心とした仮想プール形態のバージョン(未発表)があり,「Gravity and Resistance」として現在進行中のプロジェクトである.

[音のセンシング]
体験者の身体の音・波形をモニタリングし,三次元立体音響によって無響室内にフィードバックしていく.

[位置センシング]
二台のカメラによって空間内のもっとも明るい座標を三次元的にセンシングする.その連続した座標は引力磁場を作り出し,反力と抵抗しながら光による水平線,三次元立体音響に作用する.

[重力センシング]
体験者の立つ場所に取り付けられたエンコーダーの変位によってモニタリングする.傾きや体重移動は力学場の重力や回転力を作り出し,反力と抵抗しながら光による水平線,三次元立体音響に作用する.
ICCコレクション