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[メッセージ]


[彦坂裕 (建築家・環境デザイナー ICCコミッティ)]

オン・ウェッブ,ネット内の知覚環境は,ときとしてわれわれをしてカルヴィーノの「見えない都市」の記憶を想起させる.というよりその進化のプロセスは,ヴァーチュアル・エステート開発そのものだ.レールが敷かれ,道路が伸びる.そこに移動の場が生産され,ヴィークルが走り,情報と文化と資本のインタラクションとトランザクション,そしてもちろん事故も生成される.開発当初,この都市のツアーを敢行する者が,あるいは自動車を操る者が,マニアであり,ディレッタントであり,エリートであったように,今,開発途上の電子ネット内というe-都市では,ハードエッジな冒険者たちが,未知の出来事を起こし,未知の出来事にインヴォルヴされている.
e-Citizenshipを持つ者たちのe-cite,われわれが「現実世界」として知覚する時間=空間複合体としての都市とは異なり,時間も空間も共滅した未開の迷宮である.近い将来,われわれは,ダブルの戸籍,人格,おそらくは精神を具有せざるを得なくなるだろう.どちらが私の影なのか.そして,この2つの環境の境界領域は,新たな欲望の交換が行なわれる経済的な場となるに違いない.
e-citeネット・サーフィンし得るサイトの広がりは,逍遥者たちの快楽度に比例する.しかし,そこに棲息するアートや出来事が,われわれの記憶するアートや出来事の表象的な再演であるのか,全く別の位相宇宙を獲得しているものなのかは,相変わらず,フラヌールたちの透徹した想像力による査定を待つしかない.


[浅田 彰] [伊藤 俊治] [彦坂 裕] [武邑 光裕]
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